ケアに生かす「透析学」入門


ケアに生かす「透析学」入門
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 第59号 (2001年7月29日発行)

これは、雑誌「透析ケア」3巻2号〜6巻1号に連載された、「これだけは知っておきたい透析看護の基礎知識」をまとめて加筆し、単行本化したものです。この本の特徴は、目次を見ればすぐに分かります。通常、透析関係の本の場合、まず腎臓の位置と働きが書いてあり、腎不全について述べられるのが普通です。しかし、この本ではまず最初に、ダイアライザーと透析監視装置のことが説明され、その次に透析の原理、血液凝固阻害剤が続き、腎不全と原疾患は6番目に書かれています。まず最初に覚えなければならないダイアライザーと監視装置を最初に持ってきているところは、実際の現場を良く知っている構成になっていると思います。

説明もまた実際の現場に則した内容となっています。除水の失敗という項目がありますが、その理由として、体重の測定間違い、計算間違いなど、非常に当たり前すぎることまで説明されています。当たり前すぎることなのですが、最初の頃は以外と見落としがちになってしまいます。また、各項目の終わりにはチェック問題もついているので、これで理解度を試すこともできます。

内容的も、初心者向けだからといって妥協しているわけではなく、読み進めていくうちに段々と高度な話題になっていきます。最後の方にはエンドトキシンや活性酸素のことにも触れているので、初心者のみならず、中堅以降のスタッフにも役立つものと思われます。

ただひとつ難点を言うなれば、このタイトルです。タイトルが「ケアに生かす「透析学」入門」で、サブタイトルが「見なれた数値の根拠がわかる」となっています。看護のことばかり書いている訳ではないので、「ケアに生かす」という意味がよく分かりません。連載されていた雑誌「透析ケア」のケアと関連を持たせたのでしょうか。また、サブタイトルは、全く意図が読めません。別に数値ばかり扱っている本ではないので、失礼かも知れませんが、はっきり言ってこのサブタイトルは不要だと思います。このタイトルだけを見て購入すると、ある意味だまされてしまうでしょう。それでも、本自体の内容がいいことには変わりはありません。

図書名:ケアに生かす「透析学」入門
著者:中井洋
価格:3000円(税抜)
発行所:メディカ出版
ISBN:4-8404-0242-6  bk1 amazon



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